⑧ 経営者なら理解しておきたい資金繰りとは?その必要性を説明します。

 

< 資金繰りとは・・・ >

【 資金繰り 】 とは、会社のお金の流れ(入ってくるお金・出ていくお金)を管理・コントロールしていくことです。

 

ホームページのトップページ(一番最初の書き出し)で下記のように触れています。


「会社経営とは何か?」

「会社経営とは何か?」と言われると、「会社を倒産させないこと=会社をつぶさないこと」と単純に答えます。もう一歩踏み込んだ言い方をすると、「会社の資金・お金が無くならないこと」とも言えます。会社の資金・お金があれば永久に続けられるからです。


 

会社の事業活動の源泉は、お金・キャッシュです。お金さえあれば、何年間も赤字決算・業績が続いていたとしても会社を続けていくことが可能です。言い方を変えると、どんなに利益を上げていても会社にキャッシュがなくなったら、あっという間に会社は倒産してしまいます。

会社を倒産させてはいけない経営者の立場からは『資金繰り』について、無視出来ない案件になります。

そこで、経営者なら理解しておきたい資金繰りとは?その必要性を説明します。

目次
1. 資金繰りとは?
2. キャッシュフローとは?(キャッシュフロー=資金繰り?)
3. 会社利益と資金繰りの違いは?
4. 黒字経営だと資金繰りも楽?
5. なぜ、資金繰りは悪化するのか
6. 資金繰り表の作り方
7. 資金繰りを改善させる方法は?
8. 資金繰りのための資金調達方法
9. 資金繰りについてのまとめ

資金繰りとは?

まずは、資金繰りとはどのようなものでしょうか。

 

大事なことなのでもう一度言います。

資金繰りとは、会社のお金の流れ(入ってくるお金・出ていくお金)を管理・コントロールしていくことです。

具体的には、会社に入るお金「収入」と出ていくお金「支出」の管理とお金・資金の流れのコントロールを行うことです。なぜ管理・コントロールする必要があるのかというと、資金繰りは会社経営においてとても重要な要素で、資金繰りがうまくいかなくなった場合、会社経営が厳しくなり、最悪の場合は倒産することもあり得るからです。倒産を防ぐためにも資金の管理・コントロールが必要になるのです。

※ ここで言う「資金」とは、現金のようにすぐに使える状態のお金のみを指します。だから、すぐにお金にならないものは資金には含まれません。

 

キャッシュフローとは?(キャッシュフロー=資金繰り?)

 

「資金繰り」と混同しやすい言葉に、「キャッシュフロー」があります。キャッシュフローはお金の流れという意味があり、どちらも収入と支出を管理するため、資金繰りと同じ意味だと思われている方も多いのではないでしょうか。ですが、「資金繰り」と「キャッシュフロー」には大きな違いがあります。

◆ 資金繰り       ⇒ 将来のお金の流れを管理・コントロールすること
◆ キャッシュフロー ⇒ 過去のお金の流れを把握すること

つまり、キャッシュフローでは過去のお金の流れの情報になりますが、資金繰りは将来どのようにお金を管理すればいいのかを、将来を見ながら考えるためのものです。


会社利益と資金繰りの違いは?

 

経営者のみなさんは、「〇〇利益=資金繰り」と勘違いしていませんか?会社が利益を上げて儲かっていたとしても、資金が不足することは常にあり得ます。それは、資金が帳簿上の利益ではなく、すぐに使える現金や預金を示すためです。つまり、会社が仕入れや製造、雇用、販売促進などの事業活動を行うたびに増減するのが資金です。

「利益=資金」と思い込んでいると、経理処理をすること自体が資金繰りをしていると勘違いしてしまいます。会計上の利益は、現金を表しているわけではないので、計算上の利益と実際の現金にはズレが生じます。

 

たとえば、取引先に商品を納入する場合、契約がまとまり商品を納入して、相手が代金を支払うことの意思を示せばその時点で売上が計上されますが、実際に入金されるまではタイムラグがあります。

これは、会計上利益の計算が入金の有無に関係なく、売上計上基準の考え方で、実際の資金の回収および支払いの時期が相違するからです。

 

このように、利益と現金は一致しないことを認識する必要があります。

 

黒字経営だと資金繰りも楽?

 

「黒字倒産」という言葉を聞いたことがございますか?これは、会社に利益が出ているにもかかわらず、すぐに使える資金がなくなることで結果的に倒産してしまうことを言います。つまり、従業員の給与や事務所家賃、また仕入先への経費が払えず、資金繰りでのコントロールが出来なかったことが理由になります。この事からも、会社にとって資金繰りがどれだけ重要か理解出来るのではないでしょうか。

 

これとは別に、「資金がショートする」という言葉を聞いたことがございますか?「資金がショートする」とは、支払があるにもかかわらず、収入が想定通りに入らないために、債務の支払いが出来なくなる状態を、「ショート」と言います。収入よりも支払の方が多い状態となり、資金繰りがショートした場合、利益が出ていても「黒字倒産」する可能性も考えられます。これも資金が尽きてしまった状態になるため、計画的な資金繰りが出来なかったことを意味します。

 

 

なぜ、資金繰りは悪化するのか


資金繰りが悪化するのには、いったいどのような原因があるのでしょうか。

 

資金繰り悪化の原因を簡単に言えば、「収入の減少」と「支出の増加」です。

◆ 収入の減少となる理由
① 見込んでいた売上が翌月以降にズレた、または見込んでいた売上がキャンセルされた
② 売掛金の現金化が間に合わない、または回収出来ない(遅延・延滞)
◆ 支出の増加となる原因
③ 過剰在庫を抱えた
④ 複数の支払時期が重なったため支出が増えた
⑤ 設備投資などで一時的な支出が増えた

まず、資金繰りが悪化しているということは、

収入 (入金) < 支出 (出金)

このような状態が継続していることです。長期間に及ぶほど、事業を行っていくための資金が不足し、最終的には会社の倒産を招くことになります。

資金繰りが悪化する大きな原因は、赤字の状態が継続することです。売上が大きく減少すると、売上に連動していない固定費の負担が大きくなり支払いが困難になるためです。また、金融機関からの資金調達が困難になった場合も、同じように資金繰りが悪化します。逆に金融機関から融資を受けることができれば、赤字であっても倒産を回避することが出来るのではないでしょうか。しかし、金融機関からの融資を受け続けることが困難になってしまうと、危険な状態に陥ります。

資金不足を防ぐためには、収入と支出を管理・コントロールしておくことが何より重要です。実際に、資金繰りの管理をしないことで、資金繰りがショートすることもあり得ます。そのような事態にならないために、資金繰り表の作成が必要不可欠といえます。普段から資金繰り表を作成し、お金がどのように動いているかをしっかりと把握しておきましょう。

 

資金繰り表の作り方


資金繰りとは、決算書(貸借対照表や損益計算書)からは確認出来ないお金の流れを示すものです。決まったフォーマットがあるわけではありません。エクセルで独自のフォーマットを使い管理しているところが多いですが、中には会計ソフトから作成している会社もございます。エクセルで資金繰り表を作る場合、8つの要素を押さえながら作成しましょう。

 

 

① 前月繰越
② 営業収入 : 現金売上、売掛金の回収、受取手形期日決済や手形割引 など
③ 営業支出 : 現金仕入、買掛金の支払、支払手形決済、人件費や経費の支払 など
④ 営業収支 : 営業活動に関わる収支(②-③)
⑤ 財務収入 : 借入金 など
⑥ 財務支出 : 借入金の返済、借入支払利息、配当金の支払 など
⑦ 経常収支 : ④+⑤-⑥
⑧ 翌月繰越 : ①+⑦

基本的に、これらの8項目を記入すれば資金繰り表は作成できます。

資金繰り表を作成すると将来、会社で起こるであろう収支の流れを把握出来るため、将来的にどのタイミングでいくら資金が必要になるのか把握することが出来ます。事前に資金不足するかもしれないタイミングがわかれば、対応が可能になります。具体的には、売上先への入金督促、売掛金の現金化(ファクタリング)、手形割引、取引先への支払延期、金融機関へ融資依頼などがございます。

資金繰り表を作成していれば、資金繰りが悪化している原因を解明することにもつながるはずです。資金繰りが悪化しているのは、短期的・長期的にさまざまな要因が絡んでいるからかもしれません。資金繰り表は、運転資金が不足する原因を知り、適切に対処・改善することに役立ちます。

 

資金繰りを改善させる方法は?


※ 【前提条件】 資金を把握
まず最初に、資金状態の把握をしましょう。現状がどのようになっているのかわからないのに対策は取れません。

具体的に
◇ 今資金がいくらあるのか
◇ 毎月の入金と支払はいくらあるのか
◇ 入金までの期間と支払までの期間はどうなっているのか
くらいは最低限把握しましょう。

 

これらを理解すると、資金の流れの全体像が見えてきます。それから、問題点も見えてくるでしょう。とにかく資金繰りの第一歩は、資金の流れを正確に把握することだと認識しましょう。

 

 

1. 赤字経営からの脱却

資金繰りが悪化する原因の最たるものは、赤字経営です。人件費や事務所・工場家賃などの固定費は支払い続けなければならないため、売上が減少するとその固定費の支払が資金不足で出来なくなってしまうからです。この場合は構造的に問題があるので、根本的に経営を見直す必要が出てきます。赤字経営から脱却するにはどうすればいいか、あらゆる視点から検討しましょう。

2. 急激な売上減少

これまで順調な経営を続けていたとしても、何かのきっかけから急激に売上が減少したことで、資金繰りの悪化を招く恐れもあります。例えば、「新製品を発売したが売れなかった」・「主要取引先の経営悪化」など内的・外的な要因があるでしょう。こういった場合は、当然自社で出来得る経営努力をするとともに、金融機関から融資を受けることも検討の余地はあるでしょう。

3. 急激な売上増加

これとは反対に、売上が急激に増加したため資金繰りが悪化するパターンもあります。例えば、今までにないようなケタ違いの案件を受注したとします。そうすると、材料や商品の仕入にかかるお金もケタ違いに及ぶため、売上の回収まで資金繰りを圧迫してしまうわけです。最悪の場合、資金ショートして「黒字倒産」になりかねません。勢いがあり、急激に業績を伸ばしている会社に見られるパターンです。

このような場合には、資金繰りに無理が起きないか慎重に検討した上で、対応を決めることです。金融機関から融資を受けることも含めて検討して見てもいいのではないでしょうか。それでも資金繰りの見通しが立たなければ、受注調整や受注取引をあきらめる勇気も必要ではないでしょうか。

4. 設備投資・事業拡大

新たに設備投資を実施したり、事業規模を拡大したりすることはよくある話です。これも資金繰り悪化の要因になる恐れがあります。理由は、まず設備投資にしても事業拡大にしても、先行して多額の資金が必要になることです。つまりそこに投資をすることで、手元資金は大きく減り、運転資金に影響を及ぼします。

そのため、設備投資や事業拡大を計画・実行する際には、すぐに結果が出なかったとしても資金繰りに困らないよう資金に余裕を持つなど、慎重に検討しましょう。

5. 多額の借入返済金

金融機関からの融資が多額になりすぎると、当然ながら返済額も大きく膨らみます。そのため資金繰りを悪化させる原因になります。資金の流れを把握することで、金融機関からの借入は無理のない範囲に留めましょう。

6. 売上代金回収は必須

商品を納品した先からのお金(売掛金)は入金期日までに必ず回収しましょう。入金期日は厳守するよう相手先に伝え、1日でも遅れた場合はすぐに督促連絡をしてすぐに回収しましょう。

※ このような考えは注意
「少し入金が遅れているけれど、すぐに入金してくれるだろう」などと考えて督促を放置していると、相手先からは「多少の遅れは待ってくれるんだ」と見られてしまい、支払いを他社の後回しにされてしまうかもしれません。場合によっては踏み倒されてしまうかもしれません。

そうするとどうなるでしょうか、自分たちの資金繰り計画に影響が出て、資金ショートを起こす原因になるかもしれません。そんなことを起こさないように、売上代金は期日までに回収する必要があるのです。すでに未回収の売上代金が多額になっている場合は、早急に対応して未回収代金をゼロにする努力をしましょう。

7. 不要資産を売却

会社の資産は「資金(現金)」だけではありません。他にも商品在庫、機械装置、株式、不動産などございます。これらはすぐに現金化出来ないため、「資金繰り」に含めることが出来ませんでした。もし使っていない資産があれば、思い切って売却しましょう。商品在庫は抱えているだけでも経費がかかります。これで手元の資金を増やすことができれば、資金繰りに余裕が出来ます。

8. コスト削減

入金を増やす努力をすると同時に、出ていくお金も見直しましょう。つまりコスト削減も検討しましょう。もし商品の仕入費用や材料費であれば、無駄な在庫を見直して必要分を仕入れるようにします。そうすることで、家賃や人件費なども抑えることが出来るかもしれません。もちろん消耗品などの細かい経費も、無駄があれば削りましょう。

ただコスト削減しすぎて、過度の負担やモチベーションが下がることは避けなければなりません。社内調整しながら、適切なコスト削減を行いましょう。

 

資金繰りのための資金調達方法


資金繰りに困った場合には、どうやって資金を集めるか考えなくてはなりません。資金を調達する方法として、まず考えられるのが金融機関からの融資でしょう。金融機関としては融資できるかどうかを審査して判断しなければなりません。そのための判断材料として資金繰り表・事業計画書の提出はしなければならないでしょう。

具体的な調達手段
◆ 銀行など金融機関からの融資
◆ 投資家などからの出資
◆ 株主からの増資
◆ 公的な助成金・補助金など

 

資金繰りについてのまとめ


ここまで資金繰りについて見てきました。経営者にとっては会社の命運を握っているといっても過言ではない資金繰り業務です。場合によっては、経営者自身で対応している方もいらっしゃるのではないでしょうか。本来資金繰りとは、不測の事態にならないように、現在の資金状況を正確に把握し、将来の資金の出入りを予想して、資金不足にならないように手を打つことです。経営者としては、定期的に資金繰りを確認するなど意識しておく必要があるでしょう。

 

 

お問い合わせフォーム

*は必須項目です

会社名 *
役職 *
お名前(漢字) *
お名前(フリガナ) *
電話番号(半角) *
E-Mail *
お問い合わせ内容 *