働き方


  働き方:管理部門の役割とは?  2021.08.12

そもそも管理部門とは、会社内部を管理する部門のことです。管理部門といっても在り方は会社ごとに変わります。
また管理部門の他に、「バックオフィス」や「間接部門」などと呼ばれることもあります。「バックオフィス」は、管理部門が会社組織を管理する業務であることに照らして、「顧客と顔を合わせることのない業務」という意味で用いられます。「間接部門」は、会社の売上げに間接的に貢献することから「間接部門」とも呼ばれます。
具体的に管理部門とは、人事・総務・法務・経理・経営企画・広報・情報システム・内部統制など企業活動を裏で支える部門で、会社の縁の下の力持ちの印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか。それでは具体的にどのような仕事をしているのかひとつずつ見ていきましょう。

 

管理部門の業務(仕事内容)は?

1. 人事
2. 総務
3. 法務
4. 経理
5. 経営企画
6. 広報
7. 情報システム
8. 内部統制
この8つの業務について見ていきます。


1.人事

人事部門は、企業経営において最も重要な要素である【ヒト=人材】に関する業務を担当します。

 

具体的には、
(1) 新卒・中途・幹部などの採用活動
(2) 人事異動
(3) 従業員を対象とした教育訓練・スキルアップ研修、ハラスメント防止のマナー研修
(4) 人事システムの構築・見直し
(5) 人事評価制度と賃金制度の構築・見直しなどの賃金労務管理
(6) 勤怠管理・社会保険手続などの給与計算
(7) 健康診断などの安全衛生管理
(8) 福利厚生業務
などがあります。

人事の仕事は、企業にとって大切な経営資源である「ヒト=人材」を最大限活用することです。言いかえると、ヒトの「募集・採用から退職」まで、「従業員に関する業務」を幅広く行っています。そして従業員が能力を発揮できる職場環境を整備して、生産性向上や企業業績拡大に貢献しながら経営基盤のさらなる安定を図ることが役割といえるでしょう。管理や手続業務が多く、裏方業務を担います。ですがヒトに関する仕事のため、経営的な視点が要求されます。


2.総務

総務部門は、会社内部の事務や他の部門で担当できない業務全般を担当します。総務は会社内部の「便利屋」とも言えます。

 

具体的には、
(1) 事務機器・備品の管理・発注
(2) 事務所等の施設管理
(3) 社内文書の管理
(4) 株主総会の企画・運営
(5) 社内行事の企画
(6) 代表電話・来客対応
などがあります。

総務の仕事は他の管理部門と重複することが多く、広範囲にわたります。企業によっては人事や労務関連の業務を兼任するケースも少なくありません。管理部門の中でもサポート的な要素が強いのが特徴です。


3.法務

法務部門は、企業活動に伴う法律等の事務の取り纏め、法的な問題への対応を業務内容とします。

具体的には、
(1) 企業活動に伴う契約などの締結
(2) 株主総会への対応
(3) 取締役会の企画・運営
(4) コンプライアンス対応・相談窓口設置
(5) 紛争・訴訟対応
などがあります。

法務とは、企業などの組織で法律業務を担います。契約書を作成したり、特許や著作権を管理したり、法律違反しないようトラブルを予防したり、消費者やクライアント企業とのトラブルを仲介したりと、あらゆる法律関係の業務を担当します。近年では「コンプライアンス(法令遵守)」が呼びかけられるようになり、法律・企業倫理を守ることへの意義に注目が集まっています。多くの会社ではコンプライアンスの体制作りが行われており、研修や社内ルールの明文化なども行っています。コンプライアンスの業務を通して社内の秩序を守ることも、法務の大切な仕事といえるでしょう。


4.経理・財務

経理・財務部門は、企業のお金の管理に関する業務・決算書の作成を担当します。

 

具体的には、
(1) 日常の入出金管理
(2) 伝票起票から決算書を作成して帳簿管理・保管
(3) 必要に応じて金融情報収集を行い、資金調達の実施
などがあります。

経理の役割は、「企業活動を数値化した上で管理をして、経営者に情報を提供すること」です。経営者が経営方針・経営計画など企業活動の方向性を決める上で重要な役割を担っています。経営に関わる重要な書類を作成したり、お金の処理をしたり、経理は企業において重要な仕事といえるでしょう。

財務の役割は、「現在・未来のお金」を管理する業務です。企業の経営状況・資金管理などによって仕事内容や緊急度は大きく変化します。例えば、資金不足に陥りそうな企業であれば最優先で、金融機関から融資を受けられるように経営計画・資金計画を作成し、資金確保に動かなければいけません。会社の現状と将来の財務状況をチェックしながら、臨機応変に対応しなければいけない重要なポジションなのです。


5.経営企画

経営企画部門は、経営戦略の立案・実施、各種調査・分析、経営会議の運営を担当します。

 

具体的には、
(1) 長期・中期・短期の予算編成
(2) ビジネスモデルの再構築
(3) M&A対応
(4) 市場調査・競合他社などを基に各種データ分析を実施して経営戦略を立案する
などがあります。

経営企画とは、社長の右腕として経営の企画=舵取りをする業務です。経営方針や経営戦略について社長や役員などの経営幹部に対して提案を行い、それを実行していきます。つまり、会社の未来を左右する仕事といえます。それに伴い責任も重い部署になります。


6.広報

広報部門は、企業や行政、各種団体の活動内容や商品などの情報発信を行います。

 

具体的には、
(1) 社外に対して消費者やマスコミに向けた新製品の情報発信
(2) 社内に対して社内報の作成・交付
(3) 投資家に向けた情報発信
などがあります。

広報の役割は、各ステークホルダーに対してそれぞれ適切な方法でコミュニケーションを取る仕事です。広報活動は会社によって目的が異なり、必要なコミュニケーションも変化します。その上で重要なことは、企業の課題や経営者の目指す姿を理解し会社に寄り添った広報活動を行うことです。


7.情報システム

情報システム部門は、企業にとって必要な情報の収集・蓄積・処理・活用に係わる仕組み作りを担当します。

 

具体的には、
(1) IT戦略の策定
(2) 社内システムの企画立案・構築・運用・保全の実施
(3) 社内に対してITに関するサポート
などがあります。

情報システム部門は、業務にITが多く活用されている現代では必要不可欠な存在です。人事や経理、顧客管理、販売管理など、社内の基幹システムで多く利用されています。企業の経営方針や経営活動に沿ってIT戦略を策定し、システム企画に落とし込むことで、業務の効率化を図り、企業の業績向上に貢献することが役割となります。


8.内部統制

内部統制部門は、企業の3つの目的である①企業の有効性と効率性、②財務報告の信頼性、③関係法規の遵守を達成することを合理的に保証することを意図したプロセスです。専門的な言い方のため、分かりにくいかもしれません。企業が事業活動を継続するために、従業員が順守すべきルールや制度を構築・運用・評価できる体制作りを言います。

具体的には、
(1) 組織の整備
(2) 規程・業務マニュアルの整備
(3) 社員教育システムの構築
(4) 内部統制についての相談先などについて、「実現可能性が担保できるシステム」を作り、「ルール通り確実に運用し、評価・改善できる体制」を整えること
などがあります。

特に業務をする上で、
・ 統制環境
・ リスクの評価と対応
・ 統制活動
・ 情報と伝達
・ モニタリング
・ ITへの対応
の6つの要素が重要であるとされています。

 

「法律上の要請」としての内部統制が、義務付けられている多くの会社がございます。会社法上の大会社(資本金が5億円以上または、負債合計が200億円以上の会社)と上場会社(有価証券報告書の提出義務のある会社)の2通りがあります。

内部統制報告制度があり、金融商品取引法により、上場企業および関連会社には内部統制報告書を提出することが求められています。企業は毎年度有価証券報告書を提出しますが、その報告書内に虚偽や誤りがないことを外部に報告するための制度として内部統制報告制度は運用されています。つまり、有価証券報告書に含まれる財務報告に関わる内部統制が、企業において構築・機能しているかどうか、企業の経営者自身が評価して報告するものが内部統制報告書です。内部統制報告書は、有価証券報告書に添付し、年に1度、金融庁に提出します。

財務報告における内部統制への評価が求められる内部統制報告書において、業務におけるリスクの把握、またリスクに対する統制(コントロール)を見つけるためツールとして
●フローチャート
●業務記述書
●リスクコントロールマトリックス
が挙げられます。一般的に内部統制の3点セットと呼ばれています。

日々業務効率を改善しながらも、法令を遵守するプロセスを構築するには、各目的の重要度を見比べ、企業の置かれた環境や事業状況に応じて判断を行う必要があります。内部統制の目的を達成する必要性から、企業の経営幹部は、内部統制の基本的要素が漏れなく組み込まれた、理想的なプロセスを整備することを求められます。それぞれの目的を達成できるプロセスが、相互に補完し合い相乗効果を生み出しながらすべての目的を達成する姿が理想的です。


管理部門に求められている役割とは?

まず管理部門の役割は、会社の規模で異なります。ここでは、大企業・中小企業の管理部門の役割について触れておきます。

 

▶ 大企業の管理部門は、フロントオフィスを支えるために専門化・分業化されています。役割は、組織間の連携・効率化・共有資産価値の増大・専門機能の価値向上などがあります。管理部門の設置は、大企業の成長になくてはならない存在です。ですが管理部門の拡大は、直接的な利益とはならない一方で、コスト負担を大きくし利益を圧迫する要因になります。

▶ 中小企業の管理部門は、大企業と異なりコスト面の制約が大きい傾向があります。そのため、1名~数名で『人事・総務・法務・経理・・・』など対応しなければならないケースが多いです。それでもコスト削減も兼ねて、社長自ら管理部門の業務を担当しているケースも珍しくありません。人員配置出来ないこともあり、事務的な作業をこなすことが多く、日々の業務に忙殺されていることも多いようです。役割としては、企業の成長や社員がより働きやすい職場環境作りを提供することになりますが、本来大企業・中小企業の違いはありません。

一昔前の管理部門は、『固い・保守的・融通が利かない=守り』という印象が強かったと思います。それは大企業も中小企業も同じでした。また間接部門という言葉から「利益を生まない仕事」という考えが長く根付いていました。一昔前の『固い・保守的・融通が利かない=守り』では、決められたことを決められた通りにするイメージが強かったため、そのようなものが今も残っているのだと思います。

 

少子高齢化、低成長時代の現在において、多様化する社会・グローバル化するビジネス・情報通信技術の進展・ソーシャルネットワークの普及・個人の働き方(働き方改革)など、変化の速い時代になっています。年功序列・終身雇用が崩れている現在では、一昔前の仕事のやり方では時代に合わなくなってきました。
それぞれの業務に高い次元での専門性が要求されるようになり、またコンプライアンス・ガバナンスなどの要求も強く・高くなってきています。しかし、従来の定例化している業務はなくなるものではないため、デジタル化などを駆使し業務効率化を図りつつ、コスト削減に結びつけるようなことが新しい役割に加わっております。そして、効率化できた時間で、収益を上げる攻めの提案も出来るようになるのではないでしょうか。管理部門でも、自ら新しい技術やノウハウを積極的に活用して、業務改善を図り利益に貢献することが、『守り』のイメージから『攻め』のイメージに変え、企業の発展に貢献できる部門になっていくといえると思います。




  働き方:『ミドルの転職』ユーザーアンケート  2021.07.29

人材サービス大手のエン・ジャパンがミドル世代を対象としたアンケート調査を公表。
その内容を下記に掲載(引用元:エン・ジャパン株式会社)

 

ミドル世代1,700人に聞く
「コロナ禍前後のキャリア観の変化」意識調査
―『ミドルの転職』ユーザーアンケート―

約7割が「コロナ禍の前後でキャリア観に変化があった」と回答。
「リモートワークなど柔軟な働き方の導入・拡大」が変化のきっかけに。

2021/07/19
人材採用・入社後活躍のエン・ジャパン株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:鈴木孝二)が運営するミドル世代に特化した求人情報サイト『ミドルの転職』(https://mid-tenshoku.com/)上で、サイトを利用している35歳以上のユーザーを対象に「コロナ前後のキャリア観の変化」についてアンケートを行ない、1,707名から回答を得ました。

【調査概要】
■調査方法:インターネットによるアンケート
■調査対象:『ミドルの転職』(https://mid-tenshoku.com/)を利用する35歳以上のユーザー
■有効回答数:1,707名
■調査期間:2021年4月30日~6月30日

■調査結果 概要

★約7割が「コロナ禍の前後でキャリア観に変化があった」と回答。変化のきっかけ、第1位は「リモートワーク・テレワークなど柔軟な働き方の導入・拡大」。

★約6割が「コロナ禍をきっかけに、働き方の変化があった」と回答。働き方の変化、第1位は「リモートワーク・在宅勤務など柔軟な働き方の導入」。「変化がなかった」と回答した方のうち、約7割は現在の働き方に「不満足」と回答。

★半数以上のミドルが、コロナ禍の前後で「転職意向が高まった」と回答。転職検討理由、30代は「仕事を通じた成長実感の有無」、40・50代は「業界自体の先行きへの不安」が第1位。

■調査結果 詳細

1:約7割が「コロナ禍の前後でキャリア観に変化があった」と回答。変化のきっかけ、第1位は「リモートワーク・テレワークなど柔軟な働き方の導入・拡大」。(図1、図2)
「コロナ禍の前後でキャリア観の変化はありましたか?」と伺ったところ、68%が「あった」と回答しました。年代別にみると、若い世代ほど「キャリア観の変化があった」と回答した割合が大きくなりました(30代:75%、40代:69%、50代:63%)。

また「コロナ禍の前後でキャリア観の変化があった」と回答した方に変化のきっかけを伺ったところ、トップ3は「リモートワーク・テレワークなど柔軟な働き方の導入・拡大」(44%)、「業界自体の先行きへの不安」(43%)、「会社の業績悪化に伴う事業の解散・縮小」(34%)でした。具体的なコメントも紹介します。

【図1】コロナ禍の前後でキャリア観の変化はありましたか?

 

【図2】「コロナ禍の前後でキャリア観の変化があった」と回答した方に伺います。変化が生じたきっかけは何ですか?(複数回答可)

 

「リモートワーク・テレワークなど柔軟な働き方の導入・拡大」と回答した方
・リモートワークができる業務にも関わらずリモートワークを実施しないなど、柔軟な対応ができない会社の対応に不信感を持った。(30代/男性)
・会社のリモートワーク導入対応の遅さや、感染対策の雑さなど、改めて会社への信用度が下がった。転職だけでなく資格取得など生涯の働き方を考えるようになった。(40代/男性)

「業界自体の先行きへの不安」と回答した方
・社会が変わろうとしている中で業界全体の動きが鈍く、今回の社会変動を一過性のものと考えているところに危機感を持った。(30代/男性)
・取扱い商材が生活必需品ではなく嗜好品のため、コロナ禍で当面売上回復の兆しがない。今後携わる商材に関しては現状及び将来を見据えたチョイスが必要だと考えるようになった。(50代/男性)

「会社の業績悪化に伴う事業の解散・縮小」と回答した方
・アパレル業界で働いていたが、先行き不透明な中で働くことに限界を感じ、早期退職の募集のタイミングでキャリアチェンジを考えた。(40代/女性)
・事業所が閉鎖された。自分自身の能力をさらに磨いていかなければと考えている。(50代/男性)

2:約6割が「コロナ禍をきっかけに、働き方の変化があった」と回答。働き方の変化、第1位は「リモートワーク・在宅勤務など柔軟な働き方の導入」。「変化がなかった」と回答した方のうち、約7割は現在の働き方に「不満足」と回答。(図3、図4、図5、図6、図7)
「コロナ禍をきっかけに、働き方の変化はありましたか?」と伺ったところ、59%が「あった」と回答しました。「働き方の変化があった」と回答した方に内容を伺うと、最も多く挙げられたのは「リモートワークや在宅勤務が導入された」(83%)でした。

一方、「働き方の変化がなかった」と回答した方に、現在の働き方・雇用のされ方についての満足度を伺ったところ、「不満足」(満足していない:35%、どちらかといえば満足していない:36%)が71%でした。現在の働き方・雇用のされ方に「不満足」と回答した方に、どのような変化を期待するかを伺うと、トップ3は「リモートワークや在宅勤務の導入」(47%)、 「時差出勤やフレックスタイム制の導入」 (39%)、 「副業の解禁」 (39%)でした。年代別に最も大きく差がついたのは「リモートワークや在宅勤務の導入」(30代:62%、40代:45%、50代:41%)となりました。

また「柔軟な働き方ができることで、転職意向度に変化は生じますか?」と伺ったところ、66%が「転職意向度が上がる」と回答しました。柔軟な働き方の導入の有無が、社員の不満や転職意向の醸成につながることが分かります。

【図3】コロナ禍をきっかけに、働き方の変化はありましたか?

 

【図4】「コロナ禍をきっかけに、働き方の変化があった」と回答した方に伺います。どんな変化がありましたか? (複数回答可)

【図5】「コロナ禍をきっかけとした働き方の変化がなかった」と回答した方に伺います。現在の働き方・雇用のされ方についての満足度を教えてください。

 

【図6】現在の働き方・雇用のされ方に「どちらかというと満足していない」「満足していない」と回答した方に伺います。どのような変化を期待しますか? (複数回答可)

 

【図7】柔軟な働き方ができることで、転職意向度に変化は生じますか?

 

アンケートの続きはまだございますので
詳細は 👇 こちらをご確認ください

ミドル世代1,700人に聞く
「コロナ禍前後のキャリア観の変化」意識調査
―『ミドルの転職』ユーザーアンケート―



  働き方:働き方改革とは?  2021.07.10

働き方改革とは?

「働き方改革」は、働く方々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で「選択」できるようにするための改革です。
そのため、働き方改革の基本的な考え方は、日本が直面する「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、「働く方々のニーズの多様化」などの課題に対応するためには、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境をつくることが必要です。働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現することで、成長と分配の好循環を構築し、働く人一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指します。

 

そもそもなぜ働き方改革を行うことになったのでしょうか?

背景には、今直面している課題がありました。
① 労働人口の減少 = 少子高齢化

 

② 労働生産性の低迷

 

③ 長時間労働
日本では、高度成長期以降、プライベートを犠牲に業績向上を目指す姿勢がよしとされる文化が根付き、そのため長時間労働の常態化している。


主な制度設計

これらの課題を突き詰めていくと労働環境の改善に行き着くことから、『労働施策に関する基本的事項』の制度設計に着手した。

1.労働時間の短縮等の労働環境の整備 = 長時間労働の是正
2.雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保、多様な就業形態の
  普及及び雇用・就業形態の改善 = 不合理な待遇差の解消・多様な働き方の実現
3.多様な人材の活躍促進
4.育児・介護又は治療と仕事の両立支援
5.人的資本の質の向上と職業能力評価の充実
6.転職・再就職支援、職業紹介等に関する施策 の充実
7.働き方改革の円滑な実施に向けた取組

 

1.労働時間の短縮等の労働環境の整備

(1) 長時間労働の是正
 時間外労働の上限規制、年次有給休暇の時季指定、産業医・産業保健機能の強化等に関する
  周知徹底・履行確保
 年次有給休暇の円滑な取得に向けた環境整備
 勤務間インターバル制度の普及促進
 労働基準監督官がよるべき行動規範の策定
 監督指導等に対する苦情の多様な形での受付
 監察官制度の活用による適正な権限行使の徹底
(2) 過労死等の防止
 過労死等の防止に向けた労働行政機関等における対策
 調査研究、啓発、相談体制の整備
 民間団体の活動に対する支援
(3) 中小企業等に対する支援・監督指導
 中小企業等がワンストップで相談できる体制の整備
 人材確保や生産性向上に向けた取組の支援
 働き方改革推進支援センターを中心とした丁寧な相談・支援
 中小企業退職金共済制度の加入促進、勤労者財産形成促進制度の利用促進
 労働関係法令の周知、監督指導における中小企業等の事情に配慮した対応
(4) 業種等の特性に応じた対策等の推進
 自動車運送業・建設業におけるガイドライン等を活用した長時間労働是正の環境整備
 医師における長時間労働是正に向けた検討
 鹿児島県・沖縄県の砂糖製造業に対する人材確保、省力化等に関する支援
(5) 最低賃金・賃金引上げと生産性向上
 年率3%程度を目途とした全国加重平均1,000円を目指した最低賃金引上げ
 中小企業等の生産性向上等の支援
(6) 産業医・産業保健機能の強化
 長時間労働者に対する面接指導や健康相談等の企業における労働者の健康管理の強化
 産業保健機能の強化
(7)安全で健康に働ける労働環境の整備
 労働災害防止計画の推進、迅速かつ公正な労働者災害補償保険制度の実施
(8) 職場のハラスメント対策及び多様性を受け入れる環境整備
 パワーハラスメント対策の周知啓発や強化に向けた検討
 セクシュアルハラスメント等に係る事業主の措置義務の履行確保や実効性確保のための検討
 職場における性的指向・性自認に関する正しい理解の促進

2.雇用形態又は就業形態の異なる労働者の間の均衡のとれた待遇の確保、多様な就業形態の
  普及及び雇用・就業形態の改善

(1) 雇用形態又は就業形態にかかわらない公正な待遇の確保など非正規雇用労働者の待遇
    改善
 我が国が目指す同一労働同一賃金を実現するため、改正法の周知徹底や業界別導入マニュ
  アルの普及
 非正規雇用労働者のキャリアアップの支援
(2) 正規雇用を希望する非正規雇用労働者に対する正社員転換等の支援
 企業内における正社員転換の支援
 転職支援、能力開発支援等
 無期転換ルールへの円滑な対応に向けた支援
(3) 柔軟な働き方がしやすい環境の整備  雇用型テレワークの普及促進・相談窓口の設置・運
    営や助成金等による導入支援・適正な労務管理のためのガイドラインの周知
 自営型テレワークの就業環境の整備のためのガイドラインの周知
 副業・兼業の普及促進及び制度的課題の検討
 雇用類似の働き方に関する保護等の在り方についての中長期的な検討
 裁量労働制及び高度プロフェッショナル制度について、制度内容の理解促進や監督指導による
  履行確保

働き方改革の効果

●労働参加率の向上
●イノベーション等を通じた生産性の向上
●企業文化・風土の変革
●働く人のモチベーションの向上
●賃金の上昇と需要の拡大
●職務の内容や職務に必要な能力等の明確化、公正な評価・処遇等など

順次各制度が施行され始めました。これから効果が出てくるものと思います。これを機に会社の仕組みも働き方改革同様、効果が出てくるように変えてみませんか?



  働き方:同一労働同一賃金とは?  2021.07.09

同一労働同一賃金とは?

「同一労働同一賃金」は、「同じ仕事をしていれば、同じ賃金を支払うべき」という賃金の決め方のルールです。言い方を変えると、『正社員』・『パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者』の区分に関係なく、同じ仕事をさせているのなら、同じ賃金を支払うべき」という制度です。だから会社は、「非正規雇用(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)だから」というだけの理由で、正社員の賃金等の待遇に差をつけていると、その待遇差は認められず、改善することが求められます。

法律の名称も、「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」から「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(いわゆる「パートタイム・有期雇用労働法」)に変わり、2020年4月1日施行(中小企業におけるパートタイム・有期雇用労働法の適用は、2021年4月1日)されました。

 

目的は?

同一労働同一賃金の導入は、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者) と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。
同一企業内における正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにします。

これまでの経緯

平成28年12月に、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差がどのような場合に不合理とされるかを事例等で示す 「同一労働同一賃金ガイドライン案」 を 「働き方改革実現会議」 に提示しました。平成29年9月には、労働政策審議会から法律案要綱の答申が行われており、この答申に基づき作成した法律案 を、平成30年4月に国会へ提出し、平成30年6月29日に、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立しました(平成30年7月6日公布)。同一労働同一賃金に関する省令・指針については、平成30年11月に労働政策審議会に「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針案」等を諮問し、12月には労働政策審議会から答申が行われ、12月28日に公布・告示しています。

働き方改革関連法の柱の一つが「同一労働同一賃金」です。2018年末には、厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会の部会で、具体的なルールとなる「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」(同一労働同一賃金ガイドライン)が承認されました。

従業員の待遇に違いがあるかのチェックポイント

 

法改正のポイント

1.不合理な待遇差を解消するための規定の整備
○ 短時間・有期雇用労働者に関する同一企業内における正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、当該待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化。
○ 有期雇用労働者について、
正規雇用労働者と①職務内容、②職務内容・配置の変更範囲が同一である場合の均等待遇の確保を義務化。
○ 派遣労働者について、
①派遣先の労働者との均等・均衡待遇、②一定の要件(同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の賃金であること等)を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化。
○ また、これらの事項に関するガイドラインの根拠規定を整備。

2.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
○ 短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化。

3.行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
○ 1の義務や2の説明義務について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備。

同一労働同一賃金の導入による影響

企業側の影響

● 非正規社員の労働生産性向上が期待できる
● 優秀な人材を確保・採用しやすくなる
● 人件費が高くなる可能性がある
● 労働者に対しての説明義務が生じるため、労務コストが増える

労働者側の影響

● 賃金上昇への期待や働きがいが生まれる
● キャリアアップの見えない壁が無くなる
● 正社員の賃金が引き下げられる可能性がある
● 派遣などを受け入れる企業が減る可能性がある


企業は、同一労働同一賃金を導入するため、就業規則の見直しや従業員への説明などの必要が生じ、そのためのコストが生じます。しかし、同一労働同一賃金への対応をしなかったり、従業員から待遇について説明を求められたときに十分な説明ができなかったりした場合には、従業員から訴訟を起こされるリスクが生じます。
「同一労働同一賃金」の課題を解消するには一朝一夕にはいかない面があります。特に“不合理の判断”が難しく、対応に困難が生じることも想定します。時間の経過とともに情報も更新されていきますので、計画的に課題を進めていきましょう。

 



  働き方:ワーケーションとは?  2021.06.22

 

ワーケーションとは、「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語。
リゾート地や帰省先など、職場や自宅とは違う環境で働きながら休暇も取得するという行為を指す言葉です。非日常の土地で仕事を行うことで、生産性や心の健康を高め、より良いワーク&ライフスタイルを実施することができる1つの手段になります。仕事と休暇を両立させる働き方として注目されている。

 

 

 

具体的には、普段働いている職場を離れて、通信環境が整った観光地などで、休暇を取りながらリモートワーク(遠隔勤務)をする働き方が、ワーケーションにあたる。企業などがリゾート地に拠点を設け、従業員が働きながら休暇を取る形式も含まれる。従業員側にとっては、普段と異なる環境で心身を休めながら仕事ができる、家族や友人らと過ごす時間が増やせる、繁忙期を避けて、安価に移動できるといったメリットがあり、企業側にとっては、従業員が有給休暇を取りやすくなり、有給休暇の取得率向上につながるなどのメリットがある。一方で仕事と休暇の線引きや、勤務時間の認定が難しいなどの課題もある。